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Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その11) [ウォーゲーム]

 Last Blitzkriegの米軍初期配置ユニットは、前回の北部に位置する第V軍団に所属する2個師団に続いて、アルデンヌ戦線の中央部というか、アルデンヌ戦区そのものを担当していた第VIII軍団の部隊を見ていこうと思います。まずは歩兵師団。
 前回からの続きということで北側から順に並べてみます。
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 当時の(現在に至るまで)もっとも番号の若い米軍師団がこの第106歩兵師団です。前回の第99師団同様まったく実戦を経験していない新米師団で、前線に到着したばかりで、訓練も未了だったようです。
 部隊も司令部も敵状をまったく認識していなかったため12月16日に完全な奇襲を受け、さらに輪をかけてその後の対応が混乱してしまい、あっけなく戦力の2/3が包囲されてしまいました。
 数日後にこの2個連隊は降伏。今日に至るまで「戦場で降伏した最大規模の米軍部隊」と記録ずくめとなってしまった不運な部隊です。
 上の画像では、第423連隊の第2大隊のみARが1と評価されていますが、これはこのユニットだけが表面が移動サイドで、他のユニットが表面が展開サイドだからです。本作のヒストリカルノートによると、この大隊は乗車状態で前線に向かう途中でドイツ軍の攻勢が開始され、連隊に合流したところで包囲されてしまったらしいです。
 なおよくみると、この師団は通常の歩兵師団よりもユニット数が多いのですが、第423連隊のProv大隊は連隊の対戦車砲中隊(おそらく57mm牽引砲装備)に砲兵部隊の一部と、第18機甲騎兵連隊のB中隊を加えて、「Bleialf」というシェネーアイフェル渓谷を抜けた先にある交差点の町の守備隊となっていました。
 また「Mixed」と記載されたユニットは師団の偵察部隊と第424連隊砲兵の一部からなるユニットだそうです。
 余談ですが、この師団は作家のカート・ヴォネガットが在席していた部隊で、ヴォネガットはこの戦いで捕虜になったのち、収容所のあったドレスデンで連合軍の猛爆撃を体験し、これを「スローターハウス5」という小説に仕上げました。
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 おそらく「バルジの戦い」において第101空挺師団とならんで、もっとも有名な米軍部隊のひとつかもしれません。米軍師団には「ビックレッドワン」とか「インディアンヘッド」とかいろいろニックネームがあります。
 この第28歩兵師団はもともと「キーストーン」というあだ名だったようなのですが、バルジの戦いの直前に「ヒュルトゲン森林の戦い」という消耗戦で大損害を被り、再編成のためにアルデンヌに配備されたところを再び攻撃され、2ヶ月で2度の壊滅的打撃を受けた結果、いつしか「ブラッディバケット(血で満たされたバケツ)」という恐ろしいあだ名で呼ばれるようになってしまったようです。
 というわけで、この師団は、あまりに分散して配備され、ドイツ軍精鋭の奇襲を受け、燦々たる状況で敗走する部隊というイメージで語られることも多いようです(TVシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」でも「精鋭の101」との対比としてそうした描かれ方をしていました)。
 しかし、実際にはドイツ軍の攻勢開始前に補充は完了していて、定数を満たした状態で奮戦、クレルボーをはじめ各所でドイツ軍の進撃を遅滞させた功績がある師団、という評価があるようです。
 「バルジの戦い」を扱ったウォーゲームでは、この師団だけが守備範囲が特に広いので、部隊規模を変更したり、特別なルールを与えたりということも多いようですが、本作では中央に位置する第110連隊が例外的に中隊規模でユニット化され、なおかつ補充不可という扱いになっていることと、連隊毎にHQがあり、ルール上は別部隊として個別に活動化するという点が特殊です。
 師団所属の第707戦車大隊は110連隊に、牽引式の対戦車砲大隊が112連隊に配属されています。歩兵のARはのきなみ4とかなり優秀で、「兵力は少ないが手強い相手」という位置づけのようです。
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 地図上に初期配置される米軍歩兵師団としては最後となるのが、この第4歩兵師団です。ノルマンディー上陸作戦では初日にユタ・ビーチに上陸、上の28師団と同じくヒュルトゲンで損害を被ってアルデンヌへ移動してきたようです。
 この師団の配備位置は「バルジ」の南端という微妙な場所で、ゲームによって師団全体が登場したり、一部しか登場しなかったりします。本作での同師団トは上の画像のように1個連隊が欠けていますが、初期配置されるのは1個連隊のみ。第22連隊は増援で登場するようになっています。
 師団には戦車大隊のほか、対戦車砲が牽引式と自走砲の両方の大隊が配属されています。また師団直属の工兵大隊のほかに第159工兵大隊が配下にいるようになっています。
 「タスクフォースLuckett」というユニットは第9機甲師団の戦車や装甲車と第8歩兵師団の歩兵1個大隊で編成された臨時部隊で、第4歩兵師団の配下に編入された部隊のようです。

 これで、初期配置の米軍歩兵をすべてみてきました。第106師団以外は意外と強力という印象で、ドイツ軍の突破が失敗したのもむげなるかな、というところでしょうか。
 ゲームとしては不利な状況で頑強に抵抗する米軍を、いかに裏をかき、損害を抑えて迅速に突破できるか、というのがドイツ軍の課題になるようで、これはなかなか興味深いと思います。

 米軍には上記のほか、初期配置部隊として機甲騎兵連隊と機甲師団がそれぞれ1個ずつあるので、次回はそれを見てみようと思います。

Last Blitzkrieg(BCS#l1)の専用ルールとBCSのデザイナーズノートを翻訳 [ウォーゲーム]

 ここのところMMP/The Gamersの新作(Tunisia IIが出たので早くも「最新」はなくなってしまいました)「Last Blitzkrieg」の専用ルール、そしてBCSシリーズルールに付属するデザイナーズノートと、シリーズルールの要約である「Crib Note」を訳していました。
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 まだ校正が全部終わっていないのですが、とりあえずこれでBCSはプレー可能、ということになります。厳密にはシーケンスの早見表など図表類が残っているのですが、これはまぁ英文のままでもゲームできるであろうということで、機会があれば手をつけたいと思います。

 Last Blitzkriegの専用ルールは全部で36ページあるのですが、その構成は特別ルール5ページ、デザイナーズノートとヒストリカルノートが15ページ、状況設定10種に16ページといった感じです。
 「バルジの戦い」は研究者も多く、英文で読める資料や研究書も豊富なので、戦闘序列などに凝るウォーゲームも少なくありませんが、こちらもその研究成果をどう盛り込んだかを丁寧に解説しています。
 作戦に参加した両軍各師団の編成や来歴はジャン=ポール・パリュの「バルジの戦い」や、ダニー・パーカーの「ラスト・ギャンブル」のヒストリカルノートなどで詳述されていますが、ここでもさらに追加の最新情報を見ることができました。
 また、装甲ユニットの数値の決定方法や、数値を見ることで装備車両がわかる一覧表なども掲載されています。
 個人的には、ドイツ軍のカンプグルッペ編成がちゃんと再現されているウォーゲームがこれまで少なかったので、その点にもっとも注目しています。

 また「BCS Crib Note(虎の巻)」は、新しい概念の多い本シリーズのルールを理解しやすくするため、ここのシステム毎にその発生要因とそれによる影響が箇条書きにまとめられています。
 たとえば、本作にはいわゆる「支配地域」に相当する概念が複数登場するのですが、それらの違いが明確に記述されていて、プレー中に参照するとミスを減らせるのではないかと感じました。

 しかし、シリーズルール、専用ルールをすべて訳すのに結局入手から1ヶ月半かかってしまいました。それでもTunisia2が届く前に目鼻のつくところまでできたのでちょっとほっとしています。

 というわけで、次回以降もユニットカウンターを紹介していこうと思っています。もう少しお付き合いいただければ幸いです。

Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その10) [ウォーゲーム]

 延々と紹介し続けているLast Blitzkriegのカウンター紹介ですが、ドイツ軍の増援部隊はちょっと後回しにして、今回から米軍の初期配置部隊を見ていこうと思います。
 1944年12月のいわゆる「バルジの戦い」では、ドイツ軍は連合軍戦線のもっとも手薄だったアルデンヌ高原地帯を攻撃地点に選んだわけですが、この南北およそ70km幅の戦線に、米軍は4個師団半の歩兵と1個師団半相当の機甲部隊を配備していました。
 仮に機甲部隊を機動予備だと考えると、防御ラインの密度は1個歩兵師団あたりおよそ15kmということになります。しかし、実際には第99歩兵師団と第2歩兵師団は重なり合って同じ戦域を防御していたので、他の部分はより薄いということになるかと思います。そして実際の戦闘は、その厚みの違いが如実に表れているといえるかもしれません。
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 まず、ちょっと極端ないいかたですが、ドイツ軍のアルデンヌ攻勢を失敗させた、まぁなんというか第1の要因だとされている第2歩兵師団から紹介します。
 その師団番号の小ささからもわかるとおり歴戦のベテラン師団で、作戦開始時にはやはり古参の第1歩兵師団とともに第5軍団に属していました。「インディアンヘッド」という愛称がつけられています。
 米軍歩兵師団は各3個大隊からなる3個歩兵連隊を基幹とし、これに工兵、戦車、駆逐戦車それぞれ1個大隊と砲兵1個連隊の支援戦力が付属、加えて中隊規模の偵察グループが加わるという編成だったようです。
 第2歩兵師団の上の画像をみるとこの編成に忠実で、さらに、駆逐戦車大隊に追加して牽引式の対戦車砲大隊も有していたようです。
 歩兵連隊は直前の戦闘でやや消耗していたようですが、この師団の正確な配備地点をドイツ軍は把握していなかったため、予定されていた第6SS装甲軍、特に第12SS装甲師団の突破は失敗に終わった、というのがいわゆる定説といえるかもしれません。
 カタログデータ的に数値を見ても、歩兵のARはのきなみ4、偵察グループと工兵は3となっています。偵察グループには展開サイドがなく、戦車大隊と2個の対戦車大隊はサポート専用ユニットになっており、集中運用はできません。このあたりは米軍のドクトリンを反映しているのだと思います。
 砲兵火力もドイツ軍師団の平均3に比べて1多いですが、実際には軍団直轄の砲兵アセットが豊富に送り込まれるので、砲撃力はさらに強力だといえるかもしれません。
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 で、その第2歩兵師団と同じ戦区に配備されていたのが、こちら第99歩兵師団です。第2IDとは対照的に、この師団は訓練は完了していましたがまだ実戦経験がなく、アルデンヌ戦区に配備されることで、ここで「戦場の雰囲気に浸らせ」るということだったようです。
 ドイツ軍の攻勢が始まると即座に第2歩兵師団の配下に置かれるあたり、師団としての戦闘力というか指揮能力が期待されていなかったことがうかがえます。
 編成を見ると戦車大隊を配属されておらず、対戦車砲も牽引式のみという明らかな2線級部隊という印象ですが、それでARは3と、ドイツ軍の平均的な歩兵師団よりは優秀だったりします。もちろん9個大隊編成で戦力も十分です。
 こうして大隊レベルで並べると、師団の頭数を揃えても、その大隊数の差は戦力差となって現れるのだなぁ、と実感できるような気もします。

 史実では、この2個師団がドイツ軍の第12および第277歩兵師団による最初の攻撃、そしてそれに続く第12SS装甲師団との戦いを支え、「突出部の北翼」をがっちり押さえていたことになります。
 そしてドイツ軍のパイパー戦闘団は仕方なく、その南側を突破することになるのですが、次回はそのあたりに配備されていたユニットを見ていこうと思います。

Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その9) [ウォーゲーム]

 前回の第LXXXV(85)軍団に続き、Last Blitzkriegのカウンター紹介は同じ第7軍所属の第LXXX(80)軍団の2個師団を見てみようと思います。
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 ノルマンディーで壊滅した定置師団が原型で、ポーランドで再編成されて、アルデンヌに送り込まれたという数奇な部隊です。訓練未了で、未熟な師団だったようで、アルデンヌでは第9機甲師団の戦闘団に攻撃をしかけ、まったく歯が立たずに弾き返されたとされています。師団長が初日で解任されたという話も読んだのですが、それもまた。
 とりあえずアルデンヌ攻勢参加部隊中、もっとも練度が低かったらしく、さらに歩兵師団でもちょっとは持っているヘッツァーなどの装甲車両も皆無だったそうで、補充兵の多くも退院したばかりの負傷兵で戦意も低く、といろいろてんこ盛り。
 本作ではカウンターをみると、いちおう現れなかったはずのヘッツァーが含まれていますが、調べてみるとこのユニットは第2ターンの増援に指定されているようです。なので実質ゲーム開始時には6個歩兵大隊プラス工兵のみ、補充大隊もなし、という編成になるようです。ARも全ユニット2ですし厳しそうですが、どうなるか興味があります。
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 一方、こちらは第7軍でもっとも優秀といわれたらしい第212VG師団。ユニット数も多いですが、攻撃時の側翼防御用に独立部隊を配属されていたようです。44festという機関銃大隊と、XXIII懲罰大隊がそれのようです。戦車猟兵中隊のヘッツァーは4両を装備。部隊は古参兵と、南ドイツの補充兵から編成され、指揮能力は高かったが無線機不足に悩まされたそうです。
 本師団は、バルジの戦いではもっとも南側に配置される部隊で、正面には第4歩兵師団の1個連隊がいますが、たいていのバルジを扱ったウォーゲームではあまり注目されない戦区かもしれません。
 しかし、本作のデザイナーズノートを見ると、南北の両翼部分は連合軍的にはきちんと保持して突出部が形成されるようにしなければいけない、なんだそうです。

 ともあれ、これで初期配置のドイツ軍ユニットはほぼ全部ご紹介しました。このまま増援部隊も並べるか、それとも気分を変えて米軍の初期配置部隊を紹介するのもよさそうです。


Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その8) [ウォーゲーム]

 第6SS装甲軍、第5装甲軍に続き、Last Blitzkriegのドイツ軍はいよいよ第7軍所属部隊です。装甲師団がいない側翼援護部隊である第7軍は「バルジ」ではちょっと地味な印象がありますが、この軍司令部はノルマンディーの戦いではちょうど連合軍が上陸した戦区を担当しており、ある意味西部戦線におけるドイツ軍の主役的存在といえるかもしれません。
 連合軍がノルマンディーに上陸してきた時点でフランスに配備されていた軍司令部は第1、第7、第15、第19の4個軍で、これに西方装甲集団>第5装甲軍と第1降下猟兵軍が加わって「西部戦線のドイツ軍」となるという感じでしょうか。
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 第26VG師団の南隣に接して配備された第5降下猟兵師団は、第6SS装甲軍に所属する第3FJ師団よりは高い評価を与えられていて、本作でも戦闘ユニット数が2個多く、突撃砲や自動車化部隊を有し、ARも2と3が混在しています。
 ヒストリカルノートを見ると、師団は練度未熟ながら定数を充足し、師団長は戦闘経験が豊富だった、とあります。また、Bernik戦闘団は師団の各部隊から車両をかき集めて自動車化した部隊らしく、なんだかビルマ侵攻戦時の日本軍師団みたいだな、と思いました。
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 第352歩兵師団といえば、オマハビーチで米軍相手に激戦を演じた部隊として知られていますが、同師団はノルマンディーのその後の戦闘で壊滅。番号は同じですが、こちらは新編成の部隊らしいです。といってもバルジの戦いでもう1回壊滅することになるのですけれど。
 ちなみに兵科記号に「Erz」と記されているのは野戦補充大隊といって、ドイツ軍の各師団にはほぼ必ず存在する部隊です。
 これは負傷や休暇から復帰した兵士や、師団に配属された新規の補充兵をプールしておく部隊で、ここでしばらく訓練を行い、習熟させたところで前線部隊に送り出す、ということだったようです。
 しかし1944年に師団の大隊数が9個から6個に減らされると、兵力不足ゆえこの補充大隊を戦闘部隊としてそのまま投入するということを余儀なくされるようになり、師団の消耗はさらに加速するという事態になっていたようです。
 このFelderzatzという部隊の存在はずいぶん前に別のウォーゲームで知ったのですが、個人的には通信や糧食など、こうした後方部隊の編成や役割にも興味が尽きないところです。

 以上、この2個師団で第7軍の2つの軍団の内のひとつ、第86軍団を構成していました。次回はもうひとつの軍団である第80軍の所属師団を見てみようと思います。
 

Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その7) [ウォーゲーム]

 Last Blitzkriegのドイツ軍ユニットカウンター紹介シリーズ。今回は第5装甲軍所属部隊の第3弾、第XXXXVII(47)装甲軍団です。
 この軍団はそもそも、1940年のフランス侵攻終了後に編成された司令部で、翌年のロシア侵攻では第17、18装甲師団を主力とし、グデリアンの第2装甲集団に所属し、その後1944年まで東部戦線、その後ノルマンディーへ移動し西部戦線で作戦を行いました。
 アルデンヌ攻勢時の軍団長はリュトヴィッツ将軍という方で、片メガネを着用したいかにもプロイセン軍人風の方で、有名なのはバストーニュ包囲戦で、米101空挺師団に降伏勧告を行いマコーリフ准将に「ナッツ!」と返答された当の相手です。
 この人は第二次世界大戦を自動車化捜索大隊長でスタートし、その後自動車化歩兵連隊長、同旅団長、そして装甲師団長と、戦闘のほぼ全期間を機械化部隊の指揮官として過ごしたようです。
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 第2装甲師団はドイツ軍最初の装甲師団3個のうちのひとつで、当時としては歴戦の精鋭部隊といってよいかと思います。編成を見ると最初に目につくのは、SSの装甲師団より自動車化歩兵が少ないことですが、陸軍ではこちらが標準でした。
 装甲兵力は戦車大隊2個と突撃砲を装備(駆逐戦車を装備と記載している資料もあります)した戦車猟兵大隊1個となっていますが、資料を見ると、第II戦車大隊も装備の半分は突撃砲だったようです。
 アルデンヌ攻勢では全体的にどの装甲師団もパンターよりIV号戦車が不足しているというイメージがあります。これはパンターを優先的に補充された結果なのかどうか、ちょっと興味があります。
 第304装甲擲弾兵連隊の第1大隊はBMWのエンブレムみたいな兵科記号が描かれていますが、これは輸送車両が足りなくて自転車装備の部隊がいたことを示しているようです。
 一方、もうひとつの歩兵連隊である第2装甲擲弾兵連隊は、第II大隊のみ部隊名表記があり、APC装備の第I大隊は「Gutmn(グートマン)戦闘団」に編成されています。
 2Pzは全体的にバランスのとれた編成で、デュアルユニットが2個あり、戦車もサポート用の駆逐戦車も充実しているようです。
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 こちらは2Pzと並んで攻撃に参加した「教導装甲師団」です。この師団は戦車学校の教員やデモンストレーション部隊の搭乗員などをかき集めて1943年に編成された部隊で、ノルマンディーの戦いが初陣、そこでの戦闘と、コブラ作戦の矢面に立ったことでほぼ壊滅し、その後パットンの第3軍と後退戦を行った後、再び再編成されてアルデンヌ攻勢に参加しました。
 師団長はずっと編成時からずっと変わらず、北アフリカでアフリカ軍団の参謀長を務めたバイエルライン将軍です。
 ノルマンディーでは歩兵が全員APCに乗車し、戦車連隊にはキングタイガーまで装備していたモンスター師団でしたが、資料を読むとこの時期の同師団は打って変わって酷い状況だったようです。
 戦車連隊は例によって車両が不足し、戦車大隊の代わりに第559駆逐戦車大隊のヤクトパンターと第243突撃砲旅団のIII号突撃砲を配属されています。師団の戦車猟兵大隊にはIV号駆逐戦車があったようです。
 それにしても、1個の師団内に戦車が2種類、突撃砲と駆逐戦車が3種類とか多すぎ、とか思いますが、どこの軍隊でも各種の車両を全部合わせれば種類は増えるので、どこまでこれが問題だったかはわかりません。大戦前半も各戦車連隊はI号~IV号までの各種戦車を混ぜて装備してましたので、ドイツ軍的には普通だったのかも。それでも1941年でもIII号戦車と35t、38tは別の連隊に配属したりしているので、なかなか微妙なところではあります。
 史実では、この師団はファロイス、ハウザー、ボルジンガーという3個の戦闘団に編成されていたそうです。ファロイスは本作でも捜索大隊基幹のKGとしてユニットになっています。戦車連隊からIV号戦車を分遣されているので、AV3のデュアルユニットになっています。
 KGハウザーは901PGに突撃砲旅団の主力、KGボルジンガーは902PGに第II戦車大隊という編成だったようです。ということはヤクトパンターとIV号駆逐戦車は予備だったのか、それとも各KGに分遣されたか、後者だとすると本作での使い方と同じということになるかと思います。
 今気がついたのが、この師団はSSはもちろん、2Pzに比べても砲兵火力がやや貧弱です(HQユニットの兵科マークの右に爆発背景で記載された黒い数値)。手元の資料を見ると、確かに同師団には通常あるはずの砲兵連隊の記載がありません。これどーいうこと? と俄然興味が。教導師団の砲兵を探せ!
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 最後は同軍団唯一の歩兵師団である第26国民擲弾兵師団です。この部隊は12VGと同じく、後期の新編成部隊に古い師団の名称をつけた、というなんちゃって古参師団ではなく、れっきとしたベテラン師団です。
 3個連隊の歩兵のうち1個は「国民擲弾兵」ではなく「軽歩兵」で、これは12VGと同じで精鋭の証・・・かどうかはわかりませんがそんな雰囲気です。
 展開状態のARが4と、こちらも12VG同様に優秀ですが、バルジを題材にした以前のウォーゲームでは、この師団だけが突出して戦力が高いという印象がありましたが、昨今ではやや評価が平均化しているような印象もありますね。
 編成上はマーダーIII14両を装備する突撃砲部隊があるはずですが、本作ではそれらと自転車装備の偵察部隊、さらに一部の部隊に配備された車両などとともに戦闘団にまとめられているようです。
 この師団は補充大隊や工兵大隊もそこそこ優秀なのも印象的です。兵員数が他の師団の50%増しともいえる17,000もいたらしい(大戦初期の定数に近い)ので、それを反映しているのかもしれません。ゲーム的にはARの高いユニットが多く含まれていると、それだけ長い期間攻撃を続けることが可能になるように思います。
 なお、資料ではこの師団は馬匹も充実していて、だとすると砲兵や重装備の輸送にも問題が少なかったかもしれないですね。このことはこの師団のHQが通常の歩兵師団よりも指揮範囲が広い(HQユニットの左上の黒い数値、通常は5~8だが26VGは10、ちなみに装甲師団は12)ことで表現されいてるのかも。

 というわけで、ある意味ではパイパー戦闘団と並んでバルジにおけるドイツ側のもうひとつの主役ともいえる装甲軍団をご紹介しました。
 次回は最後のドイツ軍部隊である第7軍の2個軍団、合計4個歩兵師団を紹介できればと思います。

Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その6) [ウォーゲーム]

 Last Blitzkriegに登場するドイツ軍ユニットカウンター、今回は第LVIII(58)装甲軍団をご紹介します。
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 装甲軍団といっても、内訳は装甲師団と歩兵師団が各1個いるだけで、しかも作戦開始時にはその歩兵師団は兵力の1/3あまりがまだ移動中だったようです。
 上の画像は第116装甲師団。開戦時は歩兵師団で、ロシア戦線で第16自動車化歩兵師団となり、スターリングラード南方のA、B両軍集団の間隙を警戒する任務を実施し、カスピ海沿岸近くまで偵察行動を行ったりもしたようです。
 その後に戦車を装備してノルマンディーおよびフランス後退戦を戦い、アルデンヌ攻勢に投入されました。
 資料を見ると、それまでの師団長が秋に解任されたりして、いろいろドタバタしていたようですが、作戦開始時の装甲車両はパンター46両、IV号戦車26両、IV号駆逐戦車13両が稼働していた、だそうです。この時期にしてはけっこう強力かもですね。
 ユニットカウンターをみますと、陸軍は武装SSと違い、装甲擲弾兵は4個大隊しかいません。そのうち第60連隊の第I大隊が装甲兵員輸送車装備とされています。
 戦車連隊は、どちらの大隊も4ステップで、資料の装備車両数の差は反映されておりません。上の資料はあくまで作戦開始時の稼働数なので、その後の補充や修理を考慮しているのかも・・・と思ってセットアップ表を確認したら、やはりカウンターのステップ数は定数で、第I大隊は3ステップ、第II大隊は2ステップしかない状態でゲームを開始するようです。
 この師団で最も強力なユニットは実は装甲値4でARが5、射程も2あり、6ステップを有するデュアルユニットという捜索大隊ですが、いま手元に詳しい編成表がないので、具体的にどのような構成の戦闘団だったのか興味があります。射程が2あるということは少なくとも駆逐戦車かパンターを装備していたということでしょうか。
 ちなみに、上で述べた解任された前師団長はシュヴェーリンという方で、この名字はフリードリヒ大王の時代からあるプロイセン軍では由緒正しい家系であります(しかも7年戦争の時も騎兵将軍なので戦車指揮官にはふさわしい?)。
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 こちらは第116装甲師団とペアを組む、第560国民擲弾兵師団です。ずっと以前、はじめてバルジの戦いを題材にしたウォーゲームを目にしたとき、この部隊だけやけに大きな部隊番号を持っているなぁ、戦争後期にできた部隊なんだろーな、と漠然と思っていましたが、実際はノルウェーに駐屯していた守備隊が基幹なんだそうで。
 そしてよく調べていくと、他にも500番台という師団はごろごろおりまして、さらにもっと若い番号の師団も、この時期にはこの500番台の師団をベースに番号を変えたものだった、とは後で知った知識です。
 で、どのバルジのゲームでもそうですが、この師団はゲーム開始時に戦力が揃っていません。1個連隊がまだ移動中で、本作ではその部隊は12月18日の増援として登場します。
 さらに師団のヘッツァー部隊は12月20日にならないと現れません。この部隊のヘッツァーは約10両を装備していたらしいです。
 増援登場予定表を見ると、この師団の増援部隊は盤端から移動するのではなく、登場ターンになると師団司令部があるヘクスにいきなり出現します。後方を移動している間はゲームに登場させない、というのはなかなか英断かもしれないと、ちょっと思いました。

 それと、以前に紹介した武装SSの装甲師団は砲兵ポイントが4なのに、上記の師団が3なのはなぜだろう、とちょっと考えてみました。
 第6SS装甲軍にはかなりの数のロケット砲兵が配備されていたらしい、ということと、武装SSの装甲師団には88mm高射砲大隊が付属していたので、その火力を加味しているのかな? とかそのあたりが参考になりますが、これももう少し調べるか、あるいはこれから訳そうと思っている、専用ルールの史実ノートを見てみたいと思います。

 次回はいよいよ教導装甲師団と第2装甲師団を含む、第XXXXVII(47)装甲軍団を紹介しようと思います。

Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その5) [ウォーゲーム]

 The Gamersの新作ウォーゲーム「Last Blitzkrieg」のユニットカウンターは、これまで紹介してきた第6SS装甲軍に続き、同じドイツ軍側の第5装甲軍へと参ります。
 ハッソー・フォン・マントイフェル将軍率いる第5装甲軍は3個の陸軍装甲師団を中核とする3個軍団からなり、作戦開始時の主な任務は第6SS装甲軍と平行して進撃し、その南翼を援護するというものでした。実際には第6SS装甲軍の前進が思うようにいかなかったため、いつのまにか突破の主役を担うことになります。
 第5装甲軍はもともと「西方装甲集団」という、ロシア戦線で消耗した装甲師団がフランスで再編成を行う際に、これを統括する司令部でした。連合軍がノルマンディーへ上陸した後に装甲軍に昇格、名称は1943年にチュニジアで降伏した第5装甲軍の部隊名をそのまま引き継いだ形になるかと思います。
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 第18国民擲弾兵師団は、前回紹介した12VGとは異なり、以前の第18歩兵師団とはまったく関係ありません。第571国民擲弾兵師団として編成された部隊で、「18」という数字は基幹兵員を提供した第18空軍地上師団
から来ているようです。
 師団は当初は寄せ集めの二級部隊でしたが、10月下旬に本作の初期配置の地点に配備され、1月以上も同地で訓練を行った結果、練度が向上したと資料には書かれています。
 実際、編成は2個大隊編成の3個連隊プラス工兵および補充大隊と通常どおりですが、増強戦力として「東方大隊」1個と、駆逐戦車部隊を中核に自動車化狙撃兵中隊や工兵の一部で増強した機械化部隊扱いのカンプグルッペが追加されています。
 ドイツ軍の歩兵部隊としてはAR3は貴重ですし、1個でも装甲ユニットがいるのは重宝します。しかも左向きの「←」が描かれた兵科マークは特別ルールで「偵察」部隊扱いになります。
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 一方、こちらは18VGに隣接して配備された第62国民擲弾兵師団です。この2個師団で第66(LXVI)軍団を構成します。こちらももとの第62歩兵師団とはなんの関係もない、新編成の部隊だそうです。
 6個ある歩兵大隊のうちひとつだけ自動車化されていますが、通常のARが2なので、移動サイドでは1になってしまい、機動戦力としては頼りない感じ。そのほかは補充、工兵の両大隊に駆逐戦車大隊としてヘッツァーがある、というアルデンヌ攻勢時の標準的な歩兵師団といえるかと思います。

 考えて見れば、このころの米軍歩兵師団にはたいてい戦車大隊と駆逐戦車大隊が各1個編合されていることが多いので、ドイツ軍歩兵師団の標準装甲戦力であるヘッツァーと、M4シャーマンやM10駆逐戦車が遭遇することはけっこう多かったんじゃないかな、と妄想します。もちろん数的は5対1とかそれ以上にドイツ不利という状況でしょうけど。

 この2個師団は史実ではシェネー・アイフェル高地、つまり第6SS装甲軍と第5装甲軍の境界線のあたりに配備され、作戦開始後は米106歩兵団の2個連隊を包囲、降伏させたり、サン・ビトの町を攻撃したりと、なかなか活躍というか重要な役割を果たしているようです。

 次回はこのさらに南に配備されていた第58(LVIII)装甲軍団を紹介しようと思います。

Last Blitzkrieg 状況設定「パイパー戦闘団」の配置 [ウォーゲーム]

 Last Blitzkriegには全部で10個の状況設定が含まれています。そのうち戦役レベルのものはフルキャンペーン、作戦序盤キャンペーン、序盤キャンペーン北部、序盤キャンペーン南部、作戦後半キャンペーンの5種。
 ショートシナリオもやはり5種で、パイパー戦闘団の突破、サン・ビト攻略戦、バストーニュ攻囲戦、パットンの救出作戦、セルの戦車戦となっています。

 先日の月例会でサン・ビト攻略戦をちょっと並べてみたので、今度はパイパー戦闘団の突破の初期配置を並べてみました。使用するドイツ軍ユニットの多くが、これまでご紹介した第6SS装甲軍の所属部隊です。
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 上の画像は作戦エリア全体を移したもので、サイズ的にはだいたい横に長いハーフマップ、というところでしょうか。状況は作戦開始2日目の12月17日朝を表していて、前線の歩兵部隊はすでに1日の攻撃を行い、若干ですが損耗と疲労を蓄積しています。これに対し、まだ投入されていない装甲師団はフレッシュな状態です。
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 こちらは初期配置のユニットが集中している部分のアップです。ドイツ軍は北から326VG、277VG、12VG、3FJと並んでおり、その背後に北側に12SSpz、南に1SSpzが並んでいます。
 米軍は99IDが前線全体に広く散開して配置されており、それをバックアップするかのように、2IDが隙間を埋めています。特別ルールでこの2個師団には部隊同士のユニットが混ざることによる罰則が適用されません。
 地図の南端には米軍の第14機甲騎兵群が展開していますが、北側の歩兵師団との間に間隙が生じています。そしてその間隙の前に、パイパー戦闘団が1列縦隊となって待機している、という状況なわけです。

 ちなみに、ドイツ軍のもっとも北にいる第326国民擲弾兵師団は、第272国民擲弾兵師団とともに第67軍団を形成していましたが、ゲームでは272VGのほうは登場しません。この師団は作戦範囲の最北に位置するモンシャウという町を攻撃することになっていましたが、地図にはモンシャウ自体が含まれていないため、オミットされたようです。
 モンシャウを含めなかった理由としては、ルールではドイツの古都である同市をモーデル元帥が砲撃禁止したといったエピソードが語られるほかは、最初の攻撃が頓挫したのちは動きがなかったため、なにも起きないことを理由に省略した、といった趣旨の説明が書かれています。

 また、地図の東端付近には、オットー・スコルツェニー大佐率いる第150装甲旅団が待機しています。この部隊は各地から英語に堪能な兵士を集め、グリーンに塗って白星を描いたIII号突撃砲や、M10駆逐戦車のふりをしたパンター戦車、捕獲したシャーマン戦車などを装備した欺瞞部隊でしたが、その作戦効果は疑問で、すぐに通常の部隊として投入されたらしいです。
 ゲームでも、いちおう全部で3個ある戦闘ユニットのうち1個はパンター戦車装備を反映して射程2と装甲値3を与えられてはいますが、総じてあまり強力な部隊としては評価されていません。

 状況設定におけるドイツ軍の勝利条件はもちろん装甲部隊による突破なのですが、たしかにパイパー戦闘団の前の米軍戦線にはわずかな間隙があいており、ドイツ軍としてはここを拡げて主要道路による突破口を開きたい感じに見えます。
 しかし、米軍は第1ターンからはやくも第1歩兵師団と第9歩兵師団の一部が増援として北方から登場し、ドイツ軍の足を止める、あるいは突破したドイツ軍部隊の背後を遮断しようとしてきます。その翌日にはさらに第30歩兵師団も出現するので、ドイツ軍のチャンスは一瞬だけという印象です。
 また南の14CGも高い機動力を活かしてドイツ軍の側面を脅かしているので、ドイツ軍プレーヤーとしてはこれらに対する対処法も考慮する必要があるように思えます。
 ドイツ軍も2日目および3日目に9SSpzと3PGという2個師団を主力とする増援が登場しますが、カギはやはり、序盤にいかにしてできるだけ多くのユニットを突破させ、さらにそれが包囲されないよう、側翼をどれだけ援護できるか、ということかなぁ、と想像しています。

 先日のサン・ビトほどではありませんが、こちらもユニット数はさほど多くなく、しかもBCSは師団単位で活動化を行うので、1度に動かさねばならないユニット数は少ないので、手軽に感じます。
 もっとも、どの部隊から先に移動させるのか、というのはかなり悩む問題で、この状況設定でも、たとえば最初にパイパーを移動させたら次は米軍の手番になるため、突破したパイパーは米軍の増援に包囲されるかもしれない。
 しかし、パイパーを最初に動かさなかったならば、米軍は彼らが突破する前に間隙を塞いでしまうかもしれません。このあたりのジレンマが本作のおもしろいところなのかもしれない、と思いました。

 今後もユニット紹介を続けつつ、機会があり次第、どんどん動かしてみようと思っています。

Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その4) [ウォーゲーム]

 The Gamersの新作で、1944年12月のアルデンヌ攻勢を大隊レベルで再現するBCSの第一作となるLast Blitzkrieg、引き続きユニットカウンターの紹介をしてみようと思います。今回は、前回の武装SS2個装甲師団と同じ、第1SS装甲軍団に所属する3個の歩兵師団です。
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 まず第12国民擲弾兵師団(12VG)。「国民擲弾兵(Volks Grenadier)」というのはヒトラーが大戦末期に士気高揚を狙って名づけたとされる名称で、要するに「歩兵(Infantrie)」のことです。
 元来、ヨーロッパの歩兵には「戦列歩兵(Line Infantry)」「狙撃兵(Fusilier)」「擲弾兵(Grenadier)」「猟兵(Jager)」などいろいろな種類がありました。ちょっと用語が英独混ざってしまってすみません。
 上記のような細かい兵科の違いは20世紀になる頃には薄れてきましたが、狙撃兵とか擲弾兵といった用語はそれらがもともと精鋭部隊だったことから名称だけが引き継がれたり、「降下猟兵」のように軽歩兵という意味合いで使い続けられたようです。
 で、この12VGは、その番号のとおり第二次世界大戦開戦前から存在するベテラン師団で、アルデンヌ攻勢に参加したドイツ軍歩兵部隊のなかでも優良と評価された部隊だったようです。
 カウンターを見ると、当時のドイツ歩兵師団の典型で、3個ある連隊はそれぞれ2個大隊しかない定数の少ない編成ですが、各ユニットのアクションレーティングは展開サイドで4となかなか優秀です。
 LBではカウンターの裏表は兵科によってどちらが移動サイドで、どちらが展開サイドかが異なり、おおむね機械化部隊は表が移動サイド、歩兵は表が展開サイドであることが多いようです。歩兵は移動サイドになるとARが1下がるうえ「戦闘不適」部隊となってしまいます。
 さて、12VGの編成は3個歩兵連隊プラス工兵なのですが、それに加えて「Holtz」と記載されたKGと「12Fus」と記された「半自動車化」ユニットがあります。
 Holtz戦闘団はゲームに付属の歴史解説によると「IV号突撃砲6両を有する戦車猟兵大隊と、部分的に自動車化された狙撃兵中隊を基幹とする」と書かれています。部分的に自動車化された、というのは隣にある12Fusのことなので、ここから1個中隊が分遣されたということでしょうか。
 Fusというのは上で紹介している「狙撃兵(Fusilier)」の略で、ドイツ軍の歩兵師団にはそれぞれ、連隊ではなく師団直属の狙撃兵1個大隊がありました。狙撃兵といってもいわゆるスナイパーではなく、ナポレオン戦争あるいはそれ以前の時代に、各歩兵連隊から射撃の上手な兵士を集めて編成した精鋭部隊のことです。ここでも、攻撃の先陣を担う部隊とみなされているようです。
 ちなみにこの師団の通常の歩兵連隊である「27IR」も、名称としては「軽歩兵」連隊なんだそうです。
 史実ではこの師団はHJ師団のために突破口を開く役割を担っていましたが、正面に強力な米軍部隊がいたため攻撃は失敗。結局HJ師団と協同で再攻撃を行うことになります。いかに優秀とはいえ、火力で勝る米軍に歩兵だけで突撃するのは無謀ということだったのかもしれません。
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 こちらは12VGの隣に配備されていた第277国民擲弾兵師団。ノルマンディーでの戦いで全滅し、再編成された部隊なんだそうです。
 アルデンヌ攻勢に参加したドイツ軍歩兵師団は、その多くがまったく新しい部隊に、以前に全滅したまったく無関係の師団の番号だけつけたという部隊が多いのですが、277VGは兵員の多くが574VGですが、いちおう元部隊の生き残りもそこそこいたような記述を見受けます。
 しかし歴戦師団である12VGと比較すると編成は似ていますが各ユニットのARは2と低く、狙撃兵大隊もありません。ただ当時のドイツ軍歩兵師団に「書類上は」必ず配備されていたヘッツァー駆逐戦車大隊が付属し、サポートを行えるようになっています。
 277VGの歩兵大隊はステップ数も5で、定数を満たしていないことがわかります(12VGの歩兵大隊は6ステップ)。
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 277VGと非常に似た編成となっているのが空軍所属の第3降下猟兵師団(3FJ)です。陸軍との違いは各連隊がちゃんと3個大隊編成であるため、兵力にやや余裕があることでしょうか。
 それでも各大隊のステップは5、ARは2と「精鋭のグリーンデビルス」が泣くような評価になっています。つまり編成上は正規の部隊ですが、陸軍同様、兵力不足で指揮官の能力や兵士の練度は不足し、支援火器も少ない、ということなのでしょう。
 実際、この師団は作戦開始時の行軍に手間取り、せっかくの大部隊が細切れに投入されてしまったようです。

 ちなみに277VGと3FJの展開サイドのARが2というのは、移動サイドでは1になるということで、行軍中に攻撃されたらおそらくひとたまりもないかと思います。
 BCSは戦闘時の基本的な数値が相対するユニットのAR差なので、歩兵ユニットは原則として敵前では移動サイドにはなれない、ということになるような気もします。
 そう考えるとたとえ2ユニットでも機械化部隊を有している12VGはやはり優秀、ということなのかもしれません。

 なお、作戦の右翼を担当する第6SS装甲軍は、これまで紹介した第1SS装甲軍団のほかに、戦線の最右翼委に位置する第67軍団と、戦線突破後に投入される第2SS装甲軍団が所属しています。
 また、軍の配備地域のすぐ左側には隣接する第5装甲軍所属の第66軍団がおりました。このあたりを次回以降、並べてみたいと思います。

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